第53回  追憶

僕がサトルに最後に会ったのは、ちょうど5年前の今頃だった。

 

 

僕が勤めていた会社は、業績悪化のため早期退職を募っていて、心身ともに疲れ切っていた僕はその早期退職募集に手を挙げようか挙げまいかと真剣に悩んでいた。

 

 

そんな折、高校時代の友人の一人から「サトルが入院していて、結構ヤバい病気らしい。」という噂を聞いたのだ。

 

 

サトルは高校1年から2年の終わりまで「一緒の落ちこぼれグループ」にいて、僕を含めた5人で、学校では勉強もできず、スポーツもできない。いわば「ザコ軍団」を形成していた。

 

 

サトルは飄々とした男で、しかし笑いのセンスが抜群。今で言う「シュールキャラ」であった。

 

 

僕らの「ザコグループ」は喧嘩もなく、各々に優しく、今思い返してみても、とても穏やかなグループで、帰りに皆でゲーセンに行ったり、お互いの家に泊まりに行ったり放課後屋上で賭けトランプやったり、それは楽しかった。

 

 

僕らの高校はそれでも進学校だったので、3年になると皆本気で勉強し始めた。

 

 

しかし僕らの「ザコグループ」はどこ吹く風。くだらない遊びを延々つづけていたのである。その中でサトルだけは明らかに付き合いが悪くなった。

 

 

「ゲーセン行こうぜ。」

 

と誘っても来ないし

 

 

「来週家に泊まり来いよ。」

 

と誘っても来ない。

 

 

休み時間なども、段々僕らの所に来る頻度が落ちてきて、机に向かうようになった。

 

 

しかし僕らのザコグループは、本当に皆優しい奴ばかりだったので、サトルに意地悪するわけでもなく過ごしていた。

 

 

3年の夏休み前サトルは急に僕らザコグループを家に誘った。その頃は皆、サトルとだいぶ疎遠になってきたので、どうするか悩んだが、まあ、行こうぜってことになりサトルの家に泊まったのだ。

 

 

まだ今でも鮮明に憶えているが、久々にサトルと遊び、サトルの家に泊まった。最後に別れるときサトルは僕らに何故か謝罪した。

 

 

「この一年本気で勉強して東大に行きたい。みんなと遊びたいけど、今は勉強に専念したい。大学受かったらまた遊んでほしい。だから今日うちに呼んだのは、区切りで、最後にみんなで遊びたいって思った。だからごめん。」

 

 

涙目だった。

 

 

僕らは「ふうん。」てな感じで各々「あ、、そうなんだ、。」とか「お、おう。」

 

 

なんて言ってサトルの家を後にしたが、何故か帰り道、僕ら4人はあまり会話をしないまま別れた。
その後僕らザコグループと、サトルが遊ぶことはなくなり、サトルは常に勉強していた。

 

 

サトルはその年東大に落ちた。

 

 

僕らザコ軍団が久々に集結したのは、その次の年。

 

 

一浪してサトルが東大に受かったお祝いの会だった。
サトルは終始ニコニコとても嬉しそうにしていて、僕らもニコニコ。

 

 

「いや~~~~日本語忘れるかと思った位、勉強しかしてなかったよ、、、、」

 

 

なんて言っていた。

 

 

その後も30歳くらいまで、「ザコ軍団」の集まりは年に2回ほどあり、僕らは割合頻繁に連絡を取り合っていたが、30を過ぎると皆仕事や家庭で段々疎遠になり、5人で集まることがなかなかできず、日が経って行った。

 

 

サトルは東大から外資系の超大手証券に入り、僕らザコグループの

 

 

「希望の星」と呼ばれていた。

 

 

そのグループの一人から電話が掛かってきたのである。

 

 

友人曰く、結構末期のガンじゃないか。と言っていた。

 

 

僕は「そうなんだ。分かった。連絡してみるよ。」

 

 

と言って、電話を切り少し考えた。

 

 

電話掛けたほうがいのかな、、、。向こうから連絡してこないってことは、色々事情があるんだろうし、まさかこっちから「相当悪いの??」なんて聞けないしな、、。

 

 

なんて考えながら、日々の仕事や、自分自身の葛藤に追われ、そのままになってしまっていた。

 

 

友人の電話から1か月過ぎたくらいで、サトルからメールがあった。

 

 

「時間あったら家に遊びに来ない??久しぶりに。」

 

 

そのメールをもらった僕は、サトルの事を思い出し、そのメールでサトルの事を思い出した自分に物凄く嫌気が差したのだが

 

 

「OK。週末に行くよ。」

 

 

と返信した。

 

 

サトルもう結婚して実家を離れ、都心の高層マンションに家を持っていて(2回くらい行ったことがあった)まだ当時幼稚園の子供がいた。

 

 

僕は、サトルの病気の事はメールでは触れなかったが、なんとなく突然家に呼ばれたことが、病院にいく事よりも嫌な予感がしていた。

 

 

週末家に行くと、マンションにはサトルしかいなかった。

 

 

 

僕が「おう。久しぶり。」と言い。

 

 

前に会ったときと見た目もあまり変わっていないことに安堵しつつ家に入った。

 

 

とても広いマンションはなんとなく殺伐としていて、僕が奥さんと子供は?と聞くと、「今公園に遊びに行ってるんだ。」と言った。

 

 

「なんか病気って聞いたけど大丈夫なの?」

 

 

と僕は即聞いた。

 

 

サトルは「気づいたときにはもうステージ4だった。あと半年は持たないってさ。
会社も辞めたよ。まだ動けるうちにいろんな人と会っておきたくてさ。忙しいだろうに呼んで悪いな、、。」

 

 

「う、、、、、」としか僕は言葉が出なかった。

 

 

「あと少ししたらあんまり自由に動けなくなるからさ。色々ありがとな。」

 

 

頭の中で高校時代がぐるぐる廻り

 

 

僕はまたしても

 

 

 

「う、、、、、」としか言えなかった。

 

 

サトルはニコニコしていた。

 

 

東大に受かったパーティの時と同じ顔だった。

 

 

殆ど僕は自分からは話さず、サトルの話を下を向いて聞いているだけだった。

 

 

高校時代のザコグループの話。

 

 

誰それの家に泊まりにいった話。

 

 

久しぶりに会ったのにまともに目も合わせられなかった。

 

 

目を合わせたら、やり場のないおどろおどろしい何かが、僕を狂わせてしまいそうだったからだ。

 

 

ほぼ相槌しか打てないまま時間が過ぎて、サトルが「少しはなしすぎて疲れたな。」と言ったので、僕はどうにか言葉を振り絞り

 

 

「とにかく、生きて欲しいよ、、、、。」

 

 

とかろうじていうと

 

 

サトルはほんの少しだけ間をおいて「そうだな。頑張るよ。」

 

 

と言った。
それから「ゴミちゃん。お前も楽しく生きろよな。」とニコッと笑って言った。
それからどうやってマンションをを出たのか。どうやって家まで帰ったのかは全く憶えていない。

 

 

僕はその二日後の月曜日に、会社に退職願を出した。
サトルとはそれから1回だけ会った。

 

 

かなり痩せてはいたが、まだ冗談を言う元気もあり、僕が

 

 

「会社辞めたんだ。」

 

 

と言うと

 

 

「へ~~~。リアル乞食じゃないの。ハハハ。」

 

 

なんて言った。
サトルはその年の年末に亡くなった。

 

 

僕は年に一回サトルの墓参りに行く。

 

 

サトルの墓前に立つと、なんとなく自分が優しい笑みを浮かべられるような気がするからだ。

 

 

僕はサトルの分まで生きるんだ。なんて立派なことは言えないが、サトルに言われた様に

 

 

「楽しく生きよう」

 

 

と思う。

 

僕の人生はサトルによって変化したのだから、僕の中にはサトルがいるはずだ。

 

 

僕が楽しく生きることは、僕の一部であるサトルも楽しい。ということなんじゃないかな。なんて思うのである。

 

 

 

<完>

 

 

 

 

 

 

 

 

という妄想話を、3時間ほどPCの前に座って書きあげました。

 

 

なんでって言うと、早朝6時に起きて暇だったんで。
因みに文中に出てきた「ザコグループ」は存在しません。

 

 

何故なら僕は高校時代ホボ一人ぼっちの「オンリーザコ」だったので。

 

 

それでは皆様!!!!!ごきげんよう!!!!

お、、、こ、、ん、、ない、、でね!!!

第53回  追憶」への62件のフィードバック

  1. カルメン

    ゴミさんマジありえねぇー!
    なにかしらオチはあるとは思ったけど妄想かよ(笑)不覚にも感動したわ!
    俺のプラチナ涙を返してー!
    でもこんな時もあって良いかもね!

    確かに考えてみればゴミさん友達は下手プロしか居ないんだった!!

    返信
  2. 熊泥棒

    真の天才!

    ゴミさんとパチスロぶたえもんを超えるブロガーは今世紀中には現れないな!!

    返信
  3. 満栗返士射太郎

    時間の無駄記事マジやめて
    文才があるかどうかのチェックとかブログでやるなや

    返信
  4. dori

    ↑しゃたろー本人?
    社会人になってからさらに口調きつくなったよね。
    昔は皮肉でわらえたけど。今は笑えない。

    返信
  5. ララ

    おま、、、おまえ、、ふざけんなよ!
    社畜の厳しい労働を終えて、好きなゴミ太郎のブログ覗いたら、メッチャ感動して更にスクロールしたらそれが茶番だった相手の気持ち考えたことあるのかよ!

    死ね!ナウ死ね!

    返信
  6. タリュク

    いつも愛読してます。
    今回は余りにも胸に響いたのでコメントさせて頂きます。サトルさんは幸せだと思います。
    ゴミさんがどんな形であれ、サトルさんの人生を何人にも広げたのだから。短過ぎる人生だったのかもしれないけど、サトルさんは悔いないように、ゴミさんを呼んだ訳だし。きっと、サトルさんは今やりたい事ややり残したくない事、そういうのは全部やれたんじゃないですかね?サトルさんの為にも、ゴミさんはゴミさんなりの幸せ掴めると良いですね。お互い頑張りましょうね。

    返信
  7. せる

    嫁の親父がヘビースモーカーでステージ4の肺がんで

    治っちゃった

    マジで

    最近の話

    返信
  8. つかさ

    実は実話なんだと思いながら寝ようと思います。
    本当でも嘘でも、ゴミさんは優しいですね。

    返信
  9. ごみと思ってないゴミ

    フリーズしたのに何も起こらなかったような感覚ですw
    今のところはそういう事はないですが
    人の死の文章なので結構ブルーな気分になりました
    妄想と書いてるけど本当かもなとかちょっと思ったりもしたりして
    どっちみち割とスッキリした気分だったんですが
    読んだ後にブルーにさせられました
    ありがとうございますwww
    死は重いので 何となく今グッタリしてます

    返信
  10. しぐまりおん

    ゴミ太郎様、文才があるというよりも、嘘がうまいんだよーということですねー。(*^^*)

    最後まですっかりだまされてしまいましたー。(;_;)

    これじゃあ、ガガさんもメロメロですねー。(#^.^#)

    返信
  11. コブラッ

    半だちいやw半分は本当だと思うわな(¯―¯٥)全て嘘だとも本当とも思わないミックスでないですか?どちらにしろ僕の心を鷲掴みにされましたよ(´;ω;`)ウッ ゴミさんありがとう(•ө•)♡前から言ってるけども、スロ稼働やなくても貴方の文は好きです。以上

    返信
  12. シロネコ

    経験無き体験を実感した

    俺はゴミさんになり、仲間達との青春を過ごし

    サトルとの悲しい別れに、揺さぶられる感情を感じた

    今を生きたい!

    返信
  13. 破滅の玉金

    妄想と聞いて、良かったホッとした自分はまだ、人としてすてたもんじゃないですかね。

    あぁ こんな暑い日は、パチ屋にいるきったねーババアと汗だくになって一日中まぐわっていたいですよねー ハッハッハッハッハ

    返信
  14. 今夜は君にMAXBET

    読み始めてすぐ、この話は嘘かそれともまた前後半に分けるやつやなって感づいたぜ?万が一前後半に分けるやつならブチ切れて自分を見失い俺はどうにかなっていたかも知れん。Thank you.

    返信
  15. プレボLE

    ジーコじゃなくて誰だっけ?
    あの変な女との続きは?どうなったんですか?

    返信
  16. 趣味:ごみ太郎

    オチはわかってた。
    でも書いてない本当のオチ。
    これ実話ですね。

    返信
  17. 自論

    放課後屋上で賭けトランプやる穏やかなグループなんて存在しない。
    血の通わない賭け事なんて無い。

    返信
  18. ぷんぷい

    てかゴミさんの話はほとんど作り話ですよね?
    下手プロとかガガとか
    見てれば誰もがわかると思うんだけど・・
    でも面白いので否定はしませんが(о´∀`о)

    返信
  19. 匿名

    下手しか友達居ないって前から言ってるのにのにおまえらなに熱くなってんだww

    ゴミ太郎死ねマズ

    返信
  20. mitu

    楽しめたからOKでーす。よくあるお涙頂戴話。ストーリーとしてはありそうな話だけど、考えるの大変だよねー

    返信
  21. すぐる

    さすがに最近笑えないネタ多すぎない?今まで楽しませてもらってありがとね。二度と見ないわ。合コンネタと人の死を扱うネタ早く削除しろよ。

    返信
  22. オンリー雑魚だと思ってました!だって下手pくらいしか友人の話題ないですもんね!

    返信
  23. 十べぇ

    結果フィクションでしたが
    しんみりした気分が今も僕の中で漂ってるなぁ

    世界のどっかには似たようなことがあるんだろうなぁ

    返信
  24. にくまん

    ごみさん
    こんにちわ!
    おれ、結構感情はいるタイプで、配達中くるま停めて真剣に涙ふきながら読んでました
    初めてごみさんに殺意もったよ!!!!!

    返信
  25. あひる

    初めてのコメントです。

    国語の教員です。

    ブログ開設当初から見てました、見るだけですが。

    上手く言えないですが、
    こうしてオチをつけて誰も傷付かないようにする文体、
    嫌いじゃないです。

    頑張ってくださいね、
    影ながら応援してます。

    返信
  26. 妄想

    『妄想』とすることで見た人それぞれ受け取り方が変化するのはおもしろいですね。
    自分は、実際あったことをかなり盛って作った話のように感じました。

    てれ隠しで妄想とオチつけたようにもとれますし
    妄想とおちつけることで、『作り話かよ』ってとこに批判が集り
    この物語の内容自体の批判は無くなる

    例えば、ニートしていることが『楽しく生きる』ってことなのか?
    とかって批判はでてこない訳で・・・

    返信
  27. アナールバースト

    悲しい話だった。
    アナルが張り裂けそうになりました、、、

    これからも頑張ってください(´・Д・)」

    返信
  28. 親方

    初米

    かえるのブログが消えてるんだが何か知ってる?

    6月17日に同時UPしよ

    ゴミさんの書き込み合ったけど……消えてたので

    返信
  29. 太鼓の律動

    カエルさんのブログは好きだったのに、、
    突然のフェードアウトか、、
    そりゃないよ

    返信
  30. 銀さん

    お久しぶりです!

    こんばんは!

    いや〜参った...

    途中までは凄い切なくなったのに まさかの妄想(-.-)

    まぁ暇だったとは言え 良くここまでのストーリーを思いついたもんですね!

    真相はゴミさんの中にあると思いますが!

    最近 ミルさん曰く朝鮮賭博って名の場所は どこも糞みたいな場所に成り下がりましたね(^w^)

    某巨大批判ヤリアイ掲示板でも1パチ派と4パチ派のバトルあったり 世も末っすね!

    返信
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