第40回  ゴミ太郎連れ打ちする

3月某日午後6時

 

 

二つ隣の駅で朝から稼働し、大した儲けもなく、夜まで粘る台も見つけられなかった僕は、家路につき地元の駅に戻ってきた。

 

駅につき改札を抜けると、後ろから僕に声を掛けてくる男性がいた。

 

男性「おお!ゴミ太郎!!帰りか??」

 

僕「アッー!!!!お、お、お、おう、、、親父、、、」

 

父であった。

 

うわ~~~メンドクせえ!!こっから家まで一緒に歩くのかよ~~~。

 

10分はアルゼ。10分。

 

僕の頭の中に警鐘が鳴り、僕はそれを払拭するため脳内で

 

 

「逃げちゃだめだ音頭」

 

を奏でる。

 

 

「逃げちゃだめだ音頭」とは、色々な曲に合わせ、ほぼすべての歌詞を

 

「逃げちゃだめだ」に変換し心の平静を取り戻すという、掟破りの戦法である。

 

 

例えば、「ありのままの。みたいな歌」

 

 

「逃げちゃ~~だめだああ~~逃げちゃだめなんだ~~~

逃げちゃ~~ダメだ~~~~ダメだ逃げてえわ~~~~

に~~げ~~ちゃ~~~だめだ~~よ~~~

逃げちゃいけなーーーーい少しも逃げちゃだめだ」

 

 

みんなも好きな歌で使うといい。プレゼン前なんかでは効果を発揮するよバカ野郎。

 

 

話は戻り、「逃げちゃだめだ音頭」で冷静になった僕は、父に

 

 

「うん。今から帰るとこ。親父も?」

 

 

と聞いた。

 

 

父は

 

「いや~今日久々に早く終わったから、パチンコでも行こうかと思ってさ。お前も行くか?」

 

 

因みに父は最近月に1.2回パチンコに行くという情報を母から得ている。

 

 

しかも「勝ってる」と言っているらしい。

 

 

嘘乙。

 

 

確実に完全平打ちだろうから、勝てるわけない。

 

 

思いもしなかった父の言葉に、僕は迷った。

 

 

<僕のその時の脳内>

 

「う~~~んどうしよう行ってもいいかなぁ。まあこんな機会二度とないだろうし、たまには親父に付き合ってやるか。でもこの辺マジ糞店しかないし金をどぶに捨てることは間違いない。う~~む。ええい!ままよ!!」

 

 

僕は思いきって言った。

 

「ああ。いいね。行ってみようか。」

 

PM6時15分。僕と親父の連れ打ちが開戦されたのであった。

 

 

父は「じゃあ、あそこに行こう。」と言って、わざわざ駅から一番近い、糞店の中でも「マシ糞店」をいとも簡単にスルーし、地元屈指の、いや日本屈指の

 

「超絶糞ウンコ、釘が捻じれてスタートチャッカーにクロスしている店」

 

に僕をいざなった。

 

「ぐへえ、、、。よりによってここかよ、、、。」

 

と僕は呟き父に聞いた

 

「なんでこの店選んだの??ここいいの??」

 

父は言った。

 

「ここ空いてるから好きな台座れるんだよ」

 

 

僕は若干の頭痛と、吐き気を催しながらも、親父に言った。

 

「そ、う、な、ん、だ、。い、い、、じゃ、ん」

 

因みに、家族は僕がパチンコで生計を立てていることは知らない(多分)

 

だから僕の絞り出した「いいじゃん」というセリフがどんな重みを持ち、どんな覚悟を持っているのか、父には分からないのだ。

 

僕は父の後に続き、まるで富士急ハイランドのジェットコースターに、今まさに乗りこむような気持ちで入店した。

 

店に入り僕は父に

 

「何やるの?」

 

と聞いた。

 

 

店は早朝の田舎町のように「ガラン」としていて蝙蝠のような店員が2名、馬鹿の一つ覚えのように決められた順路をクルクルと回っている。

 

父は言った。「まあ待て。焦っちゃいけないんだ。」

 

と言いながら、僕に、ついてこいと言わんばかりにデーター器をチェックしながら島を練り歩いていく。

 

僕は父の肩を叩き、耳元で聞いた

 

 

「何見てんの?(この馬鹿野郎。釘見ろ!釘!)」

 

 

父「昨日の当たり回数と今日の回転数だよ。それで大体わかる。」

 

 

何が分かるんだよ。それでわかるのは昨日の当たり回数と今日の回転数だけだろうよ!!

 

 

 

お前まさか「谷村信者」じゃねえだろうな?勘弁してくれよ。

 

 

5分ほど店内を回り、

 

「よし!これにしよう。」

 

と父は言った。

 

 

2015-3-7

 

 

ふうん。まあ普通だな。しかもあんまり僕打ったことないからまあ合格だろ。

 

 

父「よしゴミ太郎となり座れ。ハイこれ。」

 

 

いきなり僕に1万円くれた。

 

 

僕「ええ??いいよ、、、自分の金で打つから、、。」

 

 

父「いいんだいいんだ、これでやりなさい。」

 

 

父は隣に座った僕のドル箱に万券を一枚入れ、自分のサンドにも一万円を入れた。

 

 

「もったいねえな~~この一万円もって今すぐ帰りたい」

 

僕は釘を見ながら思った。

 

 

1K多分14回ねえかもな、、、、、。これで2人分の資金を出している父が哀れに思えてきた、、。

 

 

打ちながら僕は父に聞いた。

 

「なんでこの台に決めたの?」

 

 

父「この慶次っていうの相性いいんだよな。キセル来れば当たるからな。知ってる??キ、セ、るっていうの?まあ来たら教えてやるよ。」

 

 

お前2年くらい前キセルの事「タバコパーン」って言ってたし、慶次の事「武将の奴」って言ってたのに大分進歩したじゃねえか。だがな、キセル予告を甘く見るなよ。僕クラスになると20%だからな。20%。

 

 

<過去の父のパチンコ話は第一章46回父with僕を見てね!>

 

 

淡々と並び打つ。

 

 

回んねえ。

 

 

糞回んねえ。

 

 

4000円で58回。

 

 

自分の財布が痛まないのは重々承知だが、それでも打ちたくない。

 

 

僕が5000円入れた頃、父に

 

 

「オイオイ!見ろよ!」

 

 

と言われ、父の台を見ると「赤保留」が点いていた。

 

 

父「オイゴミ太郎これはいいぞ。見てろよ。」

 

そして当該保留。

 

見てるよ。見てる。

 

 

保留全部埋まってる上に赤保留のリーチ煽り中。

 

 

 

 

全開打ちっぱ。

 

画面の煽りと同時に一発4円の無駄玉がパチンコ台に吸い込まれていく。

 

ひっさびさに止め打ちしてない奴見た。きょうび海打ってるババアでも止めてるぜ。

 

だがしかし僕は何も言わなかった。

 

何故ならそこには、目と手に物凄い力の入った「初老の男性(父)」がいたからである。

 

最早話しかける事など一切できない程力んだ父。

 

どんなリーチが来ても「ハイワロ風」を決め込んでいる僕に、父は「パチンコ」の原点を身を持って僕に教えてくれているのであろうか?

 

 

「否」

 

ただの痺れてるオヤジである。

 

疑似3連からキセル予告が入り「ホウッア」とケンシロウの様に唸った父は、僕をちらっと見、

 

「キタよコレ。」

 

と言った。

 

僕は「キタね。」

 

と返したが、正直なところ「五分五分」だろうな。と思った。

 

そして強く「当たってくれ」とも思ったのだ。

 

そして父は

 

 

「当たった」

 

 

父「おお。ほらな!やっぱしな。!な。な。ゴミ太郎。」

 

 

僕「やったジャン。」

 

そして確変チャレンジで高橋名人バリにボタンを連打する父。

 

確変になり喜ぶ父。

 

連チャンする父..

 

僕に玉を横流しする父。

 

「もういいよ。」と言ったのにそれでも「いいからいいから」と言って玉の詰まった箱を僕によこす父。

 

確変中の全く熱くない煽りにも、胸をのけぞらせる父。

 

連チャンが終わらない父。

 

ウンともすんとも言わない僕の台。

 

結局父は15連チャンし、2万発チョット発交換した。

 

「お前に上げた分も返ってきたから6万ちょい勝ったよ。」

 

とご機嫌な父は言い。

 

「飯でも行こう」

 

と言われ、ちょっとした高級居酒屋に入り、約2時間僕は父のパチンコ講義を受けた。

 

それを文章にすると原稿用紙2000枚になるので、要点だけを箇条書きにしようと思う。

 

①前日15回くらい出てる台を狙え。更に当日200回くらいならなお良し。

 

バカ

 

②隣の人が連チャンしていたら離れたところで打て

 

バカ

 

③夕方は出る。

 

池沼

 

④2回連続リーチが来たら次の次の回転が勝負。

 

これは、僕ですら聞いたことない。意味不明過ぎて最早ぐうの音も出ない。

 

⑤兎に角慶次に関しては、キセル予告が出る台を狙え。

 

それって、当たり引くより確率低いからな。

 

だがしかし僕はそれでも、にこやかに頷いたり、「ああ~~~そうなんだ~~勉強になるわ~~」的なセリフを吐いたりして、嬉しそうに話す父を天界から眺めていた。

 

こんなに話す父を見たのは久しぶりだったからだ。

 

僕の仕事や生活なんかには触れず、パチンコに対する意味不明の持論を楽しそうに話す父。

 

その彼に、今現在の僕が持つ「パチンコ理論」を正面からぶつけることはできなかったのである。

 

質問はさせていただいた。

 

僕「1000円で何回回るとか気にするの?」

 

父「あ~~~う~~~ん。10回か20かいくらいじゃない?」

 

昔聞いたときと全然変わってねえや、、、。ダメだ、、、。

 

僕「あのさ、、保留玉が全部点いてるとき、球打つのやめたほうがいいんじゃない?もうそれ以上入っても無駄だと思うんだけど。」

 

父「?????は?どういうこと?」

 

僕「、、、、いや何でもない。」

 

僕は全てを赦し、そして全てを諦めた。

 

こうして父と2人で飲みに行く機会があと何回あるだろうか。そう考えると、回転数も、止め打ちも、キセルも、「あと2日、あと2日待てば」も、何よりパチンコ自体もどうでもいいものに感じてきたからである。

 

僕たち2人は、いい気分で店を出た。(父はどうか知らんがそんな風だった)

 

帰り道僕はしかしながら、どうしても聞きたかった質問を父にぶつけてみた。

 

今日の一連の父の発言からどうしても確認しておきたかったのである。

 

僕「谷村ひとし。って知ってる?親父?」

 

 

父「誰それ??」

 

僕「ああ。知らないならいいんだ。気にしないで。」

 

僕たち2人は冬の名残の冷たい夜風を、少し上気した頬に受け止めながら同じ家に向かって歩いていくのであった。

 

完

 

39 thoughts on “第40回  ゴミ太郎連れ打ちする”

  1. りん7

    皆んなどうのこうの言うけど、やっぱりお前の文章ブログ村ではピカイチだ。
    本当の作家と比べても負けないような気がする。
    ちゃんと勉強してみたら?本気で。こんな場所に留まってるのはもったいなさすぎるよ。

    返信 ↓
  2. ラーフラ

    いい話だなあ~

    僕の職場にも筋金入りの60手前のオカルターがいたので、前にゴミ太郎さんとおんなじ質問をしたことがあります。
    当然彼は「誰それ??」と返してきましたがw

    返信 ↓
  3. カルメン

    久々にゴミさんらしいブログで腹から笑いましたよ!
    時折、見え隠れする親子愛!
    キセルをタバコ!一喜一憂する父!最高ッス
    ゴミ父に大義であった!とお伝え下さい!

    返信 ↓
  4. SUPER BLACK

    素晴らしい!

    十数年前に父を亡くした私には
    その情景がとても羨ましく感じました。
    何より
    お父さんが当たって良かった。
    ゴミさんに良い所見せられたお父さん・・・
    本当に良かった。(T_T)

    返信 ↓
  5. ジャギの親友

    何か読まして頂いてて頭の中で想像してしまいました。ごみさんの親に対する思いやりを感じました(* ̄∇ ̄*)♪そゆふうなコミュニケーションもありですね!!

    返信 ↓
  6. ジンヤン

    ROM専でしたが面白くて思わずコメントしましたw 次の記事更新楽しみにしてます

    返信 ↓
  7. たま

    かわえーパパ上すなぉ♡(๑′ฅฅ‵๑)

    ゴミ様なんか最近元気ないので心配です。
    たまが元気にしてあげりゅっ!←意味深

    返信 ↓
  8. クズ太郎

    「何が分かるんだよ。それでわかるのは昨日の当たり回数と今日の回転数だけだろうよ!!」

    ここクソワロタwww
    やっぱゴミさん、JJさん、しゃたろーさんが最強です。これからも期待してます!

    返信 ↓
  9. chonbo

    最高でした!

    まさにそれと同じような境遇をスロットverで経験済みです。
    自分も似たような対応をしましたが…。
    「親子ツレパチあるある」ですね(笑)

    返信 ↓
  10. てつ

    うん・・・やっぱりゴミ太郎さんの文章表現は、俺を含めた他のブログ書きの中で突出していますね。
    意地でもスカウトしたくなります。

    返信 ↓
  11. 匿名

    パチンコの期待値はわからなくても、人生の期待値の計算はごみさんよりはるかに上の方なんだから
    そういう人にバカとかいわない。
    ギャンブルなんて所詮は底辺の遊びなんだからさ。

    返信 ↓
  12. ラーメン太郎

    ほら!てつさんも褒めてるぞ!
    てつさんに土下座して、感謝の意を表明しろ!

    返信 ↓
  13. ウサマ瓶太郎

    これ読みながら打ってたら出たよ!

    「まだです!」

    とか、

    「死ねあけきぬー」

    とか\(^o^)/

    返信 ↓
  14. ダニ村の村人

    ほんとおもしれ〜
    としか言えないくらい素晴らしい!もっと更新頻度高めてくれ〜

    返信 ↓
  15. 酔っ払い

    いいなぁ
    パチプロとかさ、無職の前に家族は家族だよね
    それが一番大事なことだねえ

    返信 ↓
  16. ビトたけし軍団 らっきょ

    すげー最高!一から十までおもしろい。電車乗らんでゴミットソンで行けば。どうした?ゴミットソン?

    返信 ↓
  17. じょ

    わかります。
    自分自身が情けなくなる感情に悲しくなる気持ちもあります。
    ジャグラーに万券突っ込んでるおばあちゃんすら見たくなくて最近はジャグラーシマ避けるようになりました

    返信 ↓
  18. しぐまりおん

    私も数年前に亡くなった父と一緒にパチンコを打った記憶が鮮明によみがえりました。(T_T)

    父はオカルト信者ではありませんでしたが、年100万負ける養分組でした。

    ゴミ太郎様、パチンコで勝つのはむずかしいですよね。流石です。

    返信 ↓
  19. mitu

    久々のコメです。親父さん最高ですね。親子連れ打ち次回はスロでいっときましょう。

    返信 ↓
  20. 銀さん

    お疲れ様

    良いパパじゃないっすか!

    オカルト的なモノは パチンコあるあるじゃないかな!

    知り合いにも居ますよ!

    ゾロ目狙いする

    例えば542回転位から打ち出して555回転まで回す!

    当たらなければ移動を繰り返す

    とにかくそれでたまに当たるからオカルトって怖い

    好きな台選びは 基本ゾロ目 次が1000回転以上のハマり台 単発を繰り返す台

    上げたらきりがないですが!

    そんな野郎に限って 爆連するんですよね

    今年はエヴァMAXで57連したし...

    返信 ↓
  21. ど

    おとうさんいいぱぱじゃないですか!!!
    その謎理論講義受けてる時にもなんともいいがたい感傷にひたってたんじゃないすか?

    返信 ↓
  22. かえる

    メッセージ送らせてもらいました。
    メッセージの方のアドレスは携帯の方で、こちらはPCの方です。
    PCのメールボックスはスパムだらけで滅多に開けないので、よろしければ携帯の方へ送ってくださるとありがたいです。

    あ、それとこのコメントは承認せずに消してください。
    お手数をおかけしますがよろしくお願いします。

    返信 ↓
  23. にくまん

    友達が、同僚が…
    ペカった後、三枚がけ、揃えれない
    気にもなりませんが、身内だと辛いっすね 笑
    それでも、パチンコを本当に楽しんでる人はそんなの気にしないで、当たる、当たらないだけを純粋に楽しんでるんですよね(^-^)
    おとーさんが元気で二人で楽しめるってのが、羨ましいです(^-^)/

    返信 ↓
  24. 匿名

    自分の親父バカにするようなこと書いてんじゃねーよ。久しぶりに文章読んで気分悪くなったわ。親父さんは遊技してんだよ。お前何様なの?お前、親に寄生して暮らしてんじゃねーか。バカにできる立場じゃねーだろが。あとスロットじゃあお前も同じような立ち回りじゃねーか。カスが

    返信 ↓
  25. しゅいろ

    勝った人が強いでいいんでねすか
    父さんが正解で♩
    そういう楽しみ方もありだと思います。
    余計なこと言わない太郎さんイイですね♩( ´ ▽ ` )ノ

    返信 ↓
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